過去の「家づくり雑記帖」

 
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団らん(テーブルを囲む風景)
2015-02-04
「家族の団らん」と聞いて、みなさん何を思い浮かべるでしょうか?

 私の場合、「家族の団らん」というと、「炬燵」と「テレビ」がセットになって思い出されますが、
いずれも「共有できるもの」、「同時に楽しめるもの」だったと思います。

 テレビを見ながら、食事をしながら、炬燵や座卓を囲んだ家族の思い出は、その楽しかった記憶や何とも言えない暖かさと一緒に思い出されるものです。
 

 我が家の設計を手がける際には、あえて「炬燵」と「テレビ」は、外そうと試みたのですが、「テレビ」は、如何ともしがたく中途半端な扱いで、その場所については、いまだに迷走している部分があります。

 テレビは、部屋のなかでの影響力が大きいので、テレビの位置は難しいと言われていますが、なかなか良い結論はありませんね。
 
 

 日本の家屋は、行為を限定して部屋を造らない伝統がありますので、昔から小さい暮らしができるようになっていました。
 
 ちゃぶ台を出せば、そこが食事の場になり、片付けて、布団を敷けば寝室にと、
非常に、フレキシブルな空間になっているので、生活に関わる家具は、あまり大きく存在感のあるものは、少ないように感じられます。
 
 
 
 私の家では、家族の成長や時間を共有できる場所をテーブルという家具を道具だてとして、かたちづくろうと考えました。日本の住空間にも合うシンプルであまり重厚でない、ちゃぶ台のようなテーブルでの団らんを思い描いて…
 
 
 家が完成してからしばらくは、以前から使用していた70cm角のテーブルを使用して家族の動きを観察していましたが、
 そのうち、この家では、テーブルが丸い方が生活しやすいことが解ってきたので、直径を1m20cmと決めて、シンプルなデザインのテーブルとして、家具職人に製作してもらいました。
 
 
 北海道産の35mm厚の楢材を5枚剥ぎ合わせて、一台のテーブルに仕上げてありますが、無垢の板材はどんなに乾燥してあっても、使用しているうちに必ず板に動きがでてきます。
ですから、テーブルの裏側では、入念に反り止めの細工をしてあります。
 

 「家族の団らん」は、「時間の共有」、「空間の共有」にあると思いますが、
 
「何かを囲んだ記憶」を継承する道具立てとしては、その家や家族の生活にあった、しっかりしたシンプルなつくりのテーブルの存在は、「あっても良いもの」のではないかと思っています。
 

 新しいテーブルが届いて、初めて家族4人でテーブルを囲んだときに、家族が遠くに感じた思い出がありますが、テーブルを囲む際の距離感がテーブルの大きさひとつでこんなにも変わるものかと思いました。(そのうち、テーブルの大きさには、すぐ慣れましたが…)
 

 家族で手をつなぎ合って、その距離を確かめあったことが、昨日のことのようです。
 
 
 
我が家の床の間(居間の風景から)
2015-02-18
 伝統的な日本空間には、「床の間」という部屋から張り出した特異な空間がありますが、
 みなさん何に使うかご存知ですか? 

 元々は、茶室につくられたのが始まりですが、
 
 お茶会の際に、季節を感じられるものや茶会のテーマに合ったものや正客(お招きするメインのお客
 様)に由来の品々を主人の趣向で飾って、客人たちをもてなしたようです。

 現在では、伝統的な和室を希望される方も減ってしまい、ましてや付属の床の間を造らせていただくこ
 ともほとんど無くなってしまいました。

 先ほどご紹介したように、床の間は、「しつらえの空間」としてはじまりましたが、
 
 現代の住空間にも、住む人の心の拠りどころとなるような、
 和室の床の間に通ずる場所があっても良いのではないかと思っています。
 

 我が家では、居間から60cm程張り出した空間を「床の間に見立てて」設計してみました。

 
 8帖の居間は、吹き抜けと階段がある「動き」が強調された空間になっていますが、
 
 この「見立ての床の間」があることで、
 
 部屋のなかに重心のようなものができて、
 腰高になりやすい吹き抜け空間に落ち着きをあたえることができたように思えます。
 

 「見立ての床の間」のしつらえは、
 
 子供が書いた拙い「絵」とささやかな再生装置からの「音楽」と原初的な暖房装置からの「火」
   といった、一見何もつながりがなさそうなものの集まりですが、
 (利休の時代の茶室には、鳥のさえずりはあっても、再生音楽は無かったと思います…)

 
 その「無用に見えるものを大事に扱っている様子」が、
 
 家族の気持ちの拠りどころを静かに語ってくれているように感じています。
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